公開日:2022.12.27
更新日:2024.09.27
生まれ変わると何になる?プラスチックのリサイクルを学ぼう!
地球の環境を守るため、また限りある資源を大切に使うため、使いおわってごみになった廃プラスチックの有効利用は、いまを生きる私たちの大きなミッションです。
今回は、エコの基本であるリデュース、リユース、リサイクルの「3R」をはじめ、どんなリサイクル方法があるのか、リサイクルされたプラスチックは何になるのか、プラスチックごみを分別するときのポイントなど、プラスチックのリサイクルについてのあれこれを、わかりやすく紹介します。
限りある資源から作られるプラスチック
私たちの周りには、いろいろなプラスチック製品があります。そのプラスチックは、ほとんどが、限りある資源の石油から作られています。
つまり、なにも考えずに石油を使い続けていると、石油を使い果たしてしまい、将来
プラスチック製品が、つくれなくなってしまうかもしれません。
ですからプラスチックも、できるだけ大切に長く使ったり、リサイクルして再生利用することが大切なのです。
エコの基本は「3R」!
環境問題に対する意識の高まりから、日本では2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラスチック資源循環促進法)が施行されました。
プラスチックごみを減らし、リサイクルを進めなければならないのは、プラスチック製品を作っているメーカーだけではありません。
プラスチック製品を使う私たちも、一人ひとりが毎日の生活の中で、エコの意識を高めることが求 められています。
プラスチック製品をこれからも使い続けられるよう、 私たちは何をしたらよいのでしょうか。
それは、エコの基本である「リデュース(Reduce)」、「リユース(Reuse)」、そして「リサイクル(Recycle)」の、「3つのR」を心がけることが何よりも大切です。
では、その3つのRの意味を、それぞれ説明しましょう。
「リデュース」はごみをへらすこと
1つめの「R」は、リデュース(Reduce)です。リデュースには「ゴミをへらす」という意味があります。
出さなくてもいいごみは、出さないほうがエコです。
いちばん身近な例は、スーパーなどでお買い物をするときに購入するポリ袋でしょう。
ショッピングのときはマイバッグを持ち歩けば、ポリ袋の使用量をへらすことができます。
また旅行のときは、ホテルの使い捨て歯ブラシなどは使わずに、マイ歯ブラシを持参
するなど、リデュースにつながることは身の回りにたくさんあります。
「リユース」はくりかえし使うこと
2つめの「R」は、リユース(Reuse)です。
プラスチックは、丈夫な素材です。くり返し使おうと思えば、何度でも使うことができます。
使わなくなっても、すぐに捨てるのではなく、再利用を心がけましょう。
たとえば、いらなくなったプラスチック
容器を植物のプランターにするなど、工夫しだいで楽しいリユースのアイデアが
浮かびます。
「リサイクル」は再生利用すること
2022年の国内の廃プラスチック排出量は、823万トンでした。
このうち、一般系廃プラスチックが424万トン、産業系廃プラスチックは399万トンでした。
廃プラスチックの有効利用率(リサイクルと熱エネルギーとして利用された廃プラスチックの合計)は、2022年で87%となっています。
このリサイクル率を守り、もっと高められるように、使い終わった廃プラスチックは、リサイクルしやすいように町のルールを守って分別し、排出しましょう。
プラスチックのリサイクルを知ろう
私たちが資源ごみなどに分別して出したごみは、各自治体のルールで回収され、3つの方法でリサイクルされます。
プラスチックの3つのリサイクルについて、上の図にて一覧でまとめていますが、もう少しくわしく説明します。
マテリアルリサイクル
マテリアルリサイクルとは、使いおわったプラスチックを集め、溶かしたりして新しいプラスチック製品を作る原料として活用することです。
例えば、使い終わったペットボトルは資源ごみとして収集・分別され、リサイクル工場で細かく砕かれて、フレークという原料になります。
このフレークから、事務用品や衣類やなどが新しく作られています。現在では、飲料用のペットボトルに、ダイレクトに再生する技術も開発されています。
ケミカルリサイクル
ケミカルサイクルは、化学の技術を活用したリサイクル方法です。
ガス化
プラスチックを熱で一酸化炭素や水素などのガスに分解して化学原料にします。
原料・モノマー化
化学反応を利用してプラスチックを分解し、元の製品の最初の原料や、さらに一つ手前のモノマーという物質まで戻す技術です。
高炉原料化
プラスチックは主に炭素と水素からできています。プラスチックを燃やすと高い熱を出します。
高い熱を出すことにより、鉄鉱石のおもな成分の酸化鉄から酸素を取り除き、鉄を作り出すことができます。
この特徴をいかし、プラスチックを製鉄所の石炭やコークス(石炭から作られた燃料)の代わりに使います。
コークス炉化学原料化
製鉄所のコークス炉で、石炭を蒸し焼きにすると、コークス(石炭から作られた燃料)や炭化水素油、コークス炉ガスといった、燃料や化学原料ができます。これらは製鉄所内でも燃料として使われています。
使い終わったプラスチックも、蒸し焼きにするとコークスと同じものができます。そのため、プラスチックが製鉄所内で化学原料として使われています。
油化
石油から作られるプラスチックを、使い終わったらもう一度、油に戻すリサイクル方法です。できた油は、燃料などに使われます。
サーマルリサイクル(エネルギー回収)
サーマルリサイクル(エネルギー回収)は、使いおわったプラスチックのうち、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルできないものを、燃やして、熱エネルギーとして利用する方法です。
石油から作られたプラスチックは、紙とくらべて、高い熱量を持っています。それを燃やすことで、エネルギーを有効に活用します。
ごみ焼却時に出る熱で発電したり、温水プールや暖房などに利用したりしています。
また、固形燃料化されたり、セメントを作るときの燃焼補助剤(原・燃料)としても使われます。
ごみの分別は、識別マークを参考に!
プラスチックごみを出すとき、ボトルのラベルなどについている識別マークを確認して、正しくごみを分別する必要があります。
しかしよく見ると、識別マークのあるプラスチック製品と、識別マークのないプラスチック製品があります。
どうして、識別マークのついているプラスチックとついていないものがあるのでしょうか。
それは、識別マークがついているのは「容器包装リサイクル法」の対象だからです。
容器包装リサイクル法(容リ法)
容器包装リサイクル法(以下、容リ法)は、家庭ごみのうち大きな割合をしめる容器包装のリサイクルを進め、ごみの減量と資源の有効利用を図ることを定めた法律です。
なお「容器」とは商品を入れるもの(袋をふくむ)、「包装」とは商品を包むものを指します。
識別マークは、容リ法にしたがい、容器包装の分別収集をしやすくするためつけられています。
CDやDVDのケースは、容リ法の対象物ではないため、識別マークはついていません。
識別マークのあるプラスチック
以下のプラスチック製品は、容リ法の対象となるので、識別マークがついています。
ペットボトル
清涼飲料、果汁飲料、酒類、
牛乳、乳飲料、特定調味料などのペットボトル
プラスチック製容器包装
(ペットボトルをのぞく)
識別マークのないプラスチック
以下のようなプラスチック製品は、容リ法の対象とならないので識別マークがついていません。
サービスの提供に伴う容器包装
例えば、クリーニングの袋やハンガーなど
中身商品と分離して不要にならないもの
例えば、CDケースやDVDケース
まとめ
今回は、プラスチックのリサイクルについて学びました。
地球にやさしいプラスチックの使い方は、リデュース、リユース、リサイクルの「3R」を意識することです。
また、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルの3つのリサイクルで、プラスチックを有効に再生利用することができることも、おわかりいただけたと思います。
プラスチックのリサイクルは、事業者の人たちが努力するだけでなく、プラスチックを使っている私たちも、エコの意識を高め、プラスチックごみをなるべく出さないようにしたり、正しくゴミを分別したりして、日ごろから努力することを心がけましょう。
アーカイブ