公開日:2022.12.07
更新日:2022.12.20
ごみ問題の解決に小学生にできることをわかりやすく解説!
環境問題にはさまざまな問題がありますが、その中でも重要なものが、ごみ問題でしょう。近代社会は、大量生産・大量消費で経済を成長させてきました。
しかし、その陰で増え続けてきたのが「ごみ」です。ごみ問題を放置しておくと、温暖化や環境汚染などさまざまな問題が地球を苦しめることになります。
ごみ問題を解決し、ずっと住み続けられる地球を守りたい。そのために、小学生もできるごみ問題の対策を、わかりやすく説明します。
- 目次
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- 1. ごみ問題ってどんな問題なの?
- 日本の家庭で出るごみは 東京ドーム112杯分!
- 2. ごみ問題が進むとどんな問題が起きるの?
- ごみ問題で起きること(1)地球の温暖化
- ごみ問題で起きること(2)埋立地が不足する
- ごみ問題で起きること(3)不法投棄などによる環境汚染
- 3. ごみ問題とSDGs
- SDGsの目標12「つくる 責任・つかう責任」
- SDGsの目標14「海の豊かさを守る」
- マイクロプラスチック問題
- 4. ごみ問題に取り組む第一歩は「3つのR」
- (1) Reduce(リデュース):ごみをへらす
- (2)Reuse(リユース):くり返し使う
- (3)Recycle(リサイクル): 資源 として 再利用 する
- 5. まとめ
ごみ問題ってどんな問題なの?
人がこの地球上で生きていると、ごみは絶対に出てくるものです。でも、それは昔も今も同じことです。
ではなぜ、今になって「ごみ問題」がクローズアップされているのでしょうか。
昔のものづくりは、手作業が基本でした。ですから、一度にたくさんのものを作ることはできませんでした。
ものを使う方も、同じものをくり返し大切に使っていました。ですから、ごみも少なかったのです。
しかし時代は進み、機械による大量生産の時代に入ると、一度にたくさんのものを作ることができるようになりました。
それに合わせて使う方も、まだ使えるものでもすぐに買いかえたり、使い捨てをするようになりました。
こういった大量生産・大量消費を背景にして、ごみの出る量も急激に増えたのです。
ごみをきちんと処理しないと、環境破壊などさまざまな問題が起こります。
このままごみ問題が解決しないと、私たちはいずれ、地球に住めなくなってしまうかもしれません。
日本の家庭で出るごみは 東京ドーム112杯分!
環境省のデータによれば、日本の家庭から出るごみの量は、なんと年間約4,167万トンもあると言われています。
これは、東京ドーム約112杯分にあたります(※1)。
そして、国民1人が1日で出すごみの量は、約900グラムにものぼります(※2)。
これは、家庭から出ている「一般廃棄物」なので、工場などから出「産業廃棄物」も含めると、さらに多くのごみが出ていることになります。
(※1)ごみの比重を0.3t/立方メートルとして算出(東京ドーム地上部の容積:1,240,000立方メートル)
(※2)参考:環境省報道発表資料(2020年度)
ごみ問題が進むとどんな問題が起きるの?
ごみ問題は、地球環境にとってさまざまな悪い影響をあたえます。
ごみ問題で起きること(1)地球の温暖化
ものを燃やすときには、酸素が必要になります。焼却炉でごみを燃やすとき、空気中の酸素とごみの炭素が化合して、二酸化炭素が発生します。
二酸化炭素は「温室効果ガス」のひとつです。空気中の二酸化炭素が増えると、地球の表面を覆っている「温室効果ガス」が増えすぎてしまいます。
すると、本来は宇宙に逃げるはずの熱が放出されなくなり、地球に熱がこもるようになります。これが地球温暖化の原因です。
地球温暖化が進み、今よりも地球の温度が上がると、人間だけでなく、自然界にも悪い影響をおよぼします。
気象庁のデータによれば、日本の平均気温は、1898年以降では、100年でおよそ1.3℃も上昇しています。
中でも、1990年代以降はその傾向が大きくなっています(※1)。
ごみ問題で起きること(2)埋立地が不足する
家庭から出されるごみは年間4,167万トンあります(2020年度)。
そのうち20%はリサイクルされ、ほかのごみは焼却処理などをしたうえで、最終処分場に埋めたてられます。その量は、2020年度では364万トンにのぼります。
最終処分場も広さに限界があります。このままでいくと、あと20年後にはごみを埋めたてる場所がなくなってしまうのではないかと言われています。
ごみ問題で起きること(3)不法投棄などによる環境汚染
ポイ捨てや不法投棄されて、自然の中に放置されたごみは、山や川や海の環境を悪くしてしまいます。
また、後でもう少しくわしく説明しますが、最近では、捨てられたプラスチックが劣化してボロボロになり、細かい粒状になった「マイクロプラスチック」が、海を中心に問題になっています。
ごみ問題とSDGs
ごみ問題を考える時、忘れてはいけないものがあります。それが、SDGsです。
SDGsは、「SustainableDevelopmentGoals」という英語の頭文字をとった言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」という意味をもつ、世界で共通の目標です。
世界で起こっているさまざまな問題を、2030年までに解決・改善し、地球を未来につないでいくために必要な目標を、17の項目に分けて取り上げています。
SDGsは、地球のさまざまな問題に取り組むものです。そのため、ごみ問題ともたいへん深いつながりがあります。
SDGsで掲げられている17の目標の中でも、特に、ごみ問題に関係するテーマを2つ取り上げてみましょう。
SDGsの目標12「つくる 責任・つかう責任」
ものを使うということは、限りある貴重な資源を使うということです。
ものを作る側、使う側のそれぞれの責任を理解して、地球環境によい行動をすることが求められています。
ごみの発生量を減らし、環境に害を与えないように管理することなどが目標となっています。
これは工業ばかりではなく、漁業や農業にも当てはまります。
必要以上に魚を取りすぎたり、野菜を作りすぎても、食べられることなく腐ってしまったら食品ごみになります。
また、環境の変化で魚や野菜が取れなくなったら、食べものの値段が高くなって買えなくなり、食品ロスにつながるおそれもあります。
食べる側の私たちも、食料品を必要な分だけ買ったり、外食でも食べられる分だけ注文して食べきることを心がければ、食品ロスを少なくすることができます。
SDGsの目標14「海の豊かさを守る」
ごみ問題がいちばん深刻になっているのが、海です。
海洋汚染が進むと、魚介類が取れなくなるばかりか、漁業を仕事にする人や国の仕事ができなくなるなど、さまざまな問題が引き起こされます。
マイクロプラスチック問題
海のごみ問題のなかでも、特に深刻なのが「マイクロプラスチック」の問題です。
マイクロプラスチックとは、大きさが5mm以下のプラスチック片のことをいいます。
マイクロプラスチックには、最初から小さな粒のような形で作られた「一次的マイクロプラスチック」と、自然環境の中で劣化が進んで粒状になった「二次的マイクロプラスチック」の、2つの種類があります。
不法投棄やポイ捨てされたプラスチックは、紫外線、風雨以外に河川で流れるときや海の波の力でも劣化し、ボロボロになります。
最初から細かい粒子のような一次的マイクロプラスチックはもちろん、陸地に捨てられたプラスチックのごみも、砕けて二次的マイクロプラスチックになると、雨や川を通じて、最終的に海に流れ込みます。
ポリ袋やペットボトルなどのプラスチックごみは、少なくとも年間800万トンが、海に流れ出ていると言われています(※1)。
また、こうして蓄積された海洋プラスチックは、合計で1億5,000万トンにもなるともいわれています。(※1)
(※1)出典:数値はWWFジャパン公式サイト「海洋プラスチック問題について」による
海のプラスチックごみをえさと間違え、ウミガメなどの海の生き物がごみを食べてしまうことが心配されています。
また、海水の中のマイクロプラスチックが、魚の体などに取りこまれて問題を起こす心配もあります。
ごみ問題に取り組む第一歩は「3つのR」
ごみ問題は、地球レベルの問題です。「ぼく、わたしががんばっても、しかたない」と思ってしまう人もいるかもしれません。
しかしごみ問題は、一人ひとりがごみ問題に対する意識を高めて取り組むことが、いちばん大切なことなのです。
小学生でもできるごみ問題の取り組み。そのキーワードは、「Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)」の、3つのRです。
それぞれの「R」について、簡単に説明しましょう。
(1) Reduce(リデュース):ごみをへらす
生活の中で、ごみの量を少なくしようということです。
買いもののとき、マイバッグを使う人が増えています。マイバッグを使うことで、レジ袋の使用量が減るからです。
同じように、飲みものを持ち歩くときは、マイボトルや水筒を持つようにすれば、ペットボトルを使い捨てることもありません。
食品ロスを 防 ごう
こういった、まだ食べられるのに捨すてられてしまう食べものの問題を「フードロス(食品ロス)」といいます。
日本で出ているフードロスは、スーパーマーケットや飲食店などのフードロスが年間275万トン、家庭で出ているフードロスが247万トンもあり、合計500万トン以上の食べ物が、食べられることなく捨てられています。
これは、日本人1人あたりに置きかえると、お茶碗1杯分ほどの食べものが、毎日捨てられている計算になるとされています。
家庭でフードロスが起こる原因は、買いすぎや、保存のしかたが悪くて捨てられたり、作りすぎや、好ききらいで食べ残したりすることで起こります。
その一方で、世界には飢えに苦しんでいる人も多いことも忘れてはいけません。
家でご飯を食べるときは、必要な食べ物を、なるべく必要なだけ買って食べるようにしましょう。またレストランなどで外食をするときは、食べられる量だけを注文し、食べきるようにしましょう。
(2)Reuse(リユース):くり返し使う
くり返し使えるものは、くり返し使いましょう。特に、丈夫で長持ちなプラスチックは、寿命を迎えるまでは、だいじに使うべきです。
また、使わなくなったものでも、人にあげたりすれば、ごみになりません。こういった、何気ないリユースの意識が、ごみの量を減らすことにつながります。
(3)Recycle(リサイクル): 資源 として 再利用 する
小学生のみなさんが、3つのRの中でいちばんよく聞く言葉が「リサイクル」でしょう。
学校の授業でも、聞いたことがあるのではないでしょうか。リサイクルは、ごみを資源として再利用することです。
身近なリサイクルの代表は、ペットボトルでしょう。ごみ出しで回収されたペットボトルは、新しいプラスチック製品に生まれ変わります。
なお日本では、プラスチックのリサイクルが、年々進んでいます。2020年の有効利用率(リサイクルと熱エネルギーとして利用された廃プラスチックの合計)は、86%にのぼります。
ポイ捨てをせず、正しい 分別 ルールでごみを出そう
プラスチックのリサイクルは、リサイクル専門の会社さんが行うことなので、私たち自身が直接リサイクルすることはできません。しかし、リサイクルのお手伝いはできます。
ごみは、絶対にポイ捨てや不法投棄をしないようにしましょう。正しく処理すれば資源になるプラスチックごみも、ポイ捨てをすれば資源にならないだけでなく、海洋プラスチックごみになって海を汚してしまいます。
そして、使ったあとのプラスチック資源ごみは、住んでいるまちの分別ルールを守って、正しくごみ出しをしましょう。リサイクルされたプラスチックは、さまざまな形で、また私たちの役に立ってくれます。
まとめ
ごみ問題は地球規模の課題ですが、小学生のみなさんにもいろいろなことができると分かりました。
ごみを減らす、ものを大事に使う、そしてリサイクルをするという「3R」を意識して生活しましょう。
ごみを減らし、上手に再利用することは、私たちの未来を守ることにもつながります。明るい未来に向かって、ごみの削減に力を合わせてがんばりましょう!
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