公開日:2022.12.27

更新日:2024.09.27

透明で硬いアクリル樹脂。その性質やメリットをわかりやすく解説(かいせつ)します!

透明で硬いアクリル樹脂。その性質やメリットをわかりやすく解説(かいせつ)します!

新型しんがたコロナウイルス感染かんせんしょう対策たいさくとして、飲食店などでアクリル樹脂じゅしの仕切り板をよく見かけるようになりました。

 

透明とうめいで軽く、丈夫じょうぶなアクリル樹脂じゅしは、私たちのらしのさまざまな分野ぶんや活躍かつやくしています。

 

このアクリル樹脂という素材そざいは、どんな性質せいしつ特徴とくちょうがあり、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。今回は、アクリル樹脂について、分かりやすく説明せつめいします。

アクリル樹脂とは?

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アクリル樹脂にはたくさんの種類しゅるいがあります。

 

よく使われているアクリル樹脂は、アクリル板などに使われているポリメタクリル(さん)メチル(PMMA)です。

 

すこし専門的せんもんてき説明せつめいになりますが、メタクリル酸メチルという物質ぶっしつが、いくつも結合けつごうしたものです。

 

2022年の生産量(せいさんりょう)は約12万トンでした(※1)。

 

※1 日本プラスチック工業連盟 統計資料

アクリル樹脂のメリット・デメリット

よく使われているアクリル樹脂(PMMA)のメリットとデメリットについて、説明します。

 

アクリル樹脂のメリット(1)耐候性たいこうせいにすぐれる

アクリル樹脂は、太陽光やUV(紫外線しがいせん)、雨や風、雪といった、気候きこうなどの影響えいきょうを受けにくい特徴があります。

 

こういった「耐候性たいこうせい」にすぐれた素材の製品は、雨風にさらされるような野外の場所でも設置せっちが可能です。

 

アクリル樹脂のメリット(2)衝撃しょうげきに強い

アクリル樹脂は、ガラスの10倍以上も衝撃しょうげきに強い素材です。

 

また、たとえれてしまったときでも、ひびが広がらず、ガラスのように破片はへんることはありません。さらに高い気圧や水圧にもえられます。

 

飛散ひさんすることはないため、安全性あんぜんせいにすぐれた素材といえるでしょう。

 

アクリル樹脂のメリット(3)加工しやすい

いくら丈夫な素材でも、加工しにくかったら、材料ざいりょうとしては使いにくいものです。

 

アクリル樹脂は、他のプラスチックと同様に、丈夫でありながら、加工しやすいことも特徴です。

 

ねつを加えれば曲げ加工ができ、カッターで切断せつだんしたり、ドリルであなをあけたりもできます。接着剤せっちゃくざいり合わせることもできます。

 

こういった特徴から、工業製品の材料としてはもちろん、DIY(日曜大工)やアクセサリーの材料としてもよく使われています。

 

アクリル樹脂のメリット(4)透明度とうめいどが高い

アクリル樹脂は、高い透明度とうめいどがあるため、ガラスの代わりに使われることが多い素材です。

 

光の透過率とうかりつは、アクリル樹脂は93%です。ガラスの透過率は92%なので、ガラス以上いじょうに透明な素材といえます。

 

アクリル樹脂のメリット(5)ガラスに比べて軽い

アクリル樹脂は、透明なだけでなく、丈夫で、他のプラスチックと同様に軽いという特徴があります。

 

重さはガラスの半分以下いかなので、ガラス製品よりも設置せっち
しやすいメリットがあります。

アクリル樹脂のデメリット

工業製品の素材として能力のうりょくの高いアクリル樹脂ですが、欠点けってんもあります。

 

デメリットを理解りかいし、場所をえらんで上手に使う必要ひつようがあります。

 

アクリル樹脂のデメリット(1)傷つきやすい

アクリル樹脂は、衝撃に対して強いというメリットがあります。

 

その一方、加工しやすいことからもわかるように、表面にきずがつきやすいという欠点もあります。

 

アクリル樹脂のデメリット(2)熱に強くない

プラスチックは一般的いっぱんてきに熱に弱いものが多いですが、アクリル樹脂も熱に強いわけではありません。

 

普通の環境なら問題はありませんが、80℃をえるような環境だとけ出してしまう可能性かのうせいがあります。

アクリル樹脂の使いみち

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アクリル樹脂は、さまざまな用途ようとで使われていて、私たちの社会をゆたかにしています。その使いみちの一例いちれい紹介しょうかいしましょう。

 

屋外看板かんばん建築資材けんちくしざい

暑さや寒さ、雨風などにさらされる屋外看板かんばん建築資材けんちくしざいなどに、耐候たいこうせいの高いアクリル樹脂はうってつけです。

 

展示てんじケース・大型おおがた水槽すいそう

透明度が高いアクリル樹脂は、美術館びじゅつかんやギャラリーなどの展示てんじケースに利用りようされています。

 

中でも、アクリル樹脂が活躍しているのが、水族館などの大型おおがた水槽すいそうです。

 

水槽は大きくなるほど大きな水圧(水の圧力)がかかります。この圧力にたえるためには、水槽自体のあつみを増やす必要があります。

 

沖縄おきなわ県のちゅら海水族館にある大型水槽「黒潮くろしおの海」には、高さ8.2メートル、幅22.5メートル、厚さ60センチのアクリル樹脂でできたパネルが設置されています。

 

うすいアクリル樹脂の板を何枚も貼り合わせて60センチの厚みにしています。透明度が高いので、60センチの厚みでも水槽の中の魚をはっきり観察できます。

 

また、1本の柱もなく、7,500トンの水からかかる水圧を支えています。

 

飛行機ひこうきなどまど

丈夫で割れにくく、透明度も高いアクリル樹脂。

 

機能性きのうせいと安全性の両方がもとめられる、飛行機ひこうきなどのまどにぴったりです。また軽量けいりょうなので、燃費向上ねんぴこうじょうにも役立っています。

 

パーテーション(仕切り板)

透明で軽く、加工もしやすいアクリル樹脂は、パーテーション(仕切り板)の素材としても最適さいてきです。

 

ガラスのように割れてる心配もないので、新型コロナウイルス感染症かんせんしょう対策たいさくとして、飲食店などで多く使われています。

まとめ

プラスチックの ひとつであるアクリル樹脂について、くわしく説明してみました。

 

アクリル樹脂は丈夫で透明度も高く、 水族館の水槽すいそうや飛行機の窓など、さまざまな分野で使われています。

 

ガラスだと思っていた透明な板や窓が、実はアクリル樹脂だったということは珍しくありません。

 

これからもアクリル樹脂が、私たちの暮らしを豊かなものにしてくれるでしょう。